酒の肴にシートステイ

シートステイの先っぽ、つまりシートポスト付け根のあたり、
あそこは、ほんっとにいろんなカタチや装飾があって面白いです。
ブランドによって個性が出ますし、時代によっても変わりますし。
今回はそこんところを、例によって、ユルく、うだうだ語りたいと思います。

まずは、最もノーマル、と思うものを。

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1970年 MASI マージ
実に飾りっ気がないですが、全てここから始まる感じがします。
端正に削り込まれた周辺のラグワークも含めた景色に品があると思います。
ビルダーさんが真剣にヤスリをあてている姿が浮かびますね。

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1980年代 DE ROSA デローザ

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1985年製 NAMBEI ナンベイ
このコたち2台は、カタチはごくノーマルですが軽めに刻印が入っていますね。
このくらいシンプルなのがロードレーサーとしては「潔く」て好きです。個人的には。

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1980年代 TOMMASINI トマジーニ
シートステイのチューブがダブルテーパー(チューブの両端が細くなる)仕様のため、
先端が細くなっていますね。繊細な印象がします。

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1970年代 CHERUBIM ケルビム
先端が巻き付くようになっているので「巻きステイ」と呼ばれます。
(写真が悪くてちょっと分かりにくいですけど)
特にランドナーやスポルティーフなどツーリング車で人気のあるカタチですね。
フランスの名車、ルネ・エルス(昔は「ルネルス」と呼んでました)の影響かな。

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これも巻きステイですが、よく見ると左右のフタが一枚でつながっています。
「一本巻きステイ」と言ってたかな。
これは滅多に見かけないです。珍しいと思います。

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1970年代 COLNAGO コルナゴ
フタが丸く凹んでいるタイプは今でも見かけますね。昔から人気あります。
でも名称が思い出せません。たしかいろんな呼び方があったような…。

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これも同じくフタが丸く凹んでいるタイプですが、
フタが大きくて、美しくめっきもされていて、ドヤって感じ。目を引きますね。

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1970年代 CHESINI チェジーニ
フタに丸い凹み、めっき、刻印。ゴージャス、雰囲気満点です。

シートピン部分にシートステイが集まるのが「集合ステイ」。

Supercorsa rosso ferrari seat tube
代表的なのはやはりチネリのスーパーコルサ。
写真はチネリ公式サイトから拝借。現行のスーパーコルサも伝統の集合ステイです。
昔、集合ステイを初めて見たときは、シートラグの横が空いているのが寂しく感じて、
あまりいいとは思わなかったんですが、じわっと好きになりました。
小さ目のフレームでも、後ろ三角が大きく見えてバランスが良い、という話もありますね。

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1980年代末頃? DOBBAT’S ドバッツ
(愛知県の工房、ドバッツ・ライノ・ハウス製です)
これはかなり個性的というか特殊。
形式としては「集合ステイ」と言えますが、
シートチューブの上端が、斜めに大きく切り落とされています。
しかも、とても滑らかに肉を盛ったフィレット溶接。
手間を惜しまず、オリジナリティにこだわる姿勢はすばらしいです。

いかがでしたか。
毎度、サンプルが少なく、ショボくて申し訳ありません。
世の中にはもっといろんなものがいーっぱいあるので、
特にビギナーの方は、あまりブランドにとらわれずに「自分の好きなカタチ」
というのを探してみると面白いと思います。

たくさん見ていると「これは手間をかけて丁寧に仕上げてあるなぁ」とか、
逆に「一見、凝った工作に見えるけど鋳物で合理化してるな」 とか
見えてしまって、楽しみ方も広がり??ます。

もし、私が個人的に乗るロードレーサーを新調するとしたら、
最初の方に出てきた、ごくノーマルなものを選ぶと思います。
ツーリング車なら巻きステーで、フタの部分をめっきにしたいなー。
とか、妄想ですけど。^^;

古くても新しくても、ハンドメイドの良さが出ている物が好きですね。
だからスチールフレームなんです。
「いい仕事してますね〜」とか言いながら芋焼酎をクッといきたいわけです。
ビールでもいいですけど。

では

フォーククラウンは見どころ満載

先日、フロントフォークのカーブについて微妙な話を書きました。
今回は、フォーククラウン(肩の部分)について細かい事をうだうだ書きます。
(あまり難しい事は抜きで)

クラウンは、カタチで分けると大雑把に言って
・スロープ型(なで肩)
・フラット型(いかり肩)
の2種類に分類されることが多いですね。
なお、ユニクラウン(MTBの様にブレードを曲げて直接溶接する物)は、ここでは除外します。

ともかく、手元にある物を見ていきましょう。

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1970年の MASI マージ
古典的で典型的なフラット型です。
シンプルで少し柔らい感じで仕上げられています。派手な装飾は無くても十分に美しいです。
よく見ると裏の補強板が長ーいです。全体にペイントしてあるのは珍しい。
「裏までちゃんと見てね」と声が聞こえます。
なお、この時代はブレーキ取付けのナットがまだ埋め込み式になっていませんね。

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70年代の CHESINI チェジーニ
緩いスロープになって、薄くもなっていますが、それでもクラシックな風情。
やはり微妙な丸みというか柔らかさがあるのは、その時代の雰囲気なのでしょうか。

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70年代末頃の COLNAGO コルナゴ
肩の上面にはロゴの刻印、後面には肉抜きがされて、装飾的になっていますが、
力強さも感じます。
裏の補強板にも控えめにクローバー。

他のブランドでも同じように刻印を入れるようになり、センスの見せ所になります。
時代によってクラウンのカタチや刻印のデザインも変化するので、
クラウンを見るだけで、製造された年代が推測できたりします。

個人的には、もっとエッジの効いたフラット型が好みです。

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85年製の NAMBEI ナンベイ
南アメリカ産ではなく、福岡市にある工房で、昔、私がオーダーしたもの。私物です。

一方、典型的なスロープ型と言えば、チネリ(のスーパーコルサ)タイプでしょ。

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概ねこういうやつですね。(残念ながらこの写真はチネリ製フレームじゃありません)
まさに、なで肩。
ブレードにクラウンを挿入する内ラグ式で、スッキリしてますね。

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チネリタイプはエッジを丸く落として、さらに細くヌメヌメにしたものもあります。
見た目インパクトあります。折れないよね?

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80年代半ばの TOMMASINI トマジーニ
ギヤと’T’の文字をモチーフにしたマークを凸に浮き彫りにしています。
二重クラウンを思わせるクラシカルな雰囲気もあって、個性的ですばらしい。
裏の補強板にも大きな肉抜きと墨入れ。気合い入っています。
現行のトマジーニもこれにしてくれたらいいのに、と思ってしまう。高くて買えないけど。

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80年代中頃の DE ROSA デローザ
これ以前は、デローザはカチッとしたフラット型のもの(上記のNAMBEIのに近い)
を長く使っていて、その印象が強かったので、
この「スロープ型でかぶせ式」のものに変わった時、賛否あったと思います。

以上、いかがでしたか。

サンプルが少なくて物足らないかもしれませんが
一応、基本的な物はお見せできたかなと思います。
ビンテージ自転車に限らず、スチールの新車を選ぶ際にも参考になるでしょうか。

では。

ヘッドチューブ見ながらモヤモヤしていた件

今回は完全にヨタ話です。

ヘッドチューブに、
そのブランドのエンブレムやトレードマークがよく描かれていますよね。
星形とかトランプをモチーフをにしたものは多くて、

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DE ROSA デローザはハート

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COLNAGO コルナゴはクローバー、などは有名です。
現在でも変わらないですからね。

ダイヤとスペードはなんだったかなー。ど忘れしました。
並べると戦隊ヒーロー物みたいになりそうです。ジテンジャー。

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CIOCC チョッチなんか、全部入りですから。
合体して巨大化する?
まぁ歴史あるブランドだから全然許せます。

一方、イタリアの伝統的な紋章を使うものもあります。

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昔のMASI マージ。
格調高い感じです。日本人にはよく分からないけれど。

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チネリも昔はよく似た紋章をエンブレムに使っていました。

アルファロメオ
自動車のアルファロメオのもよく似ています。

みんな蛇がいますね。
気になったのでちょっとググってみました。

ヴィスコンティ家

人を飲み込んでいる大蛇は、ミラノを支配したビスコンティ家の紋章で、

フィレンツェ紋章
草?みたいな赤い文様はフィレンツェの紋章だそうです。
ふーん。
組み合わせるんですね。

じゃ、 東京都の紋章と、三葉葵の御紋を組み合わせてみる?

東京都紋章 葵の紋1
しかし東京都の紋章のデザインは…地図記号かと思った。
都庁のサイトによれば
「明治22年12月の東京市会で決定。太陽を中心に6方に光が放たれているさまを表し、
日本の中心としての東京を象徴しています。」
だそうですが。

話を戻します。

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トマジーニのマークは、ギヤ板と’ T ‘をモチーフにしたもの。
自転車メーカーらしくていいですね。

ただこれ、どこかで似たようなものを見た事があるような…。
ずっとモヤモヤしていたんですけど、

やっとわかりました。

メカブトンタンペイ
ターイムボカーン

ようやくスッキリしましたよ。スカポンタンでした。

では

トマジーニ TOMMASINI Racing 1980s 準備中

お待たせしています トマジーニ TOMMASINI の準備を進めています。

トマジーニは、イタリアでも数少なくなった、フレームを溶接から塗装まで一貫して
イタリアの自社工場で行うハンドメイドメーカーです。
流通量が少ないのは、職人のこだわりを持った物作りをしているからですね。

ちなみに、NHKの番組で火野正平さんが乗っている「チャリオ君」もトマジーニです。
いいのに乗ってるなー。

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このフレームは “Racing” という80年代のモデルで、日本国内ではまず見かけません。
チューブはおそらくコロンバスSL。ヘッドコラム内側にスパイラルが見えます。
深い青のペイントと伝統的なデカールが、イタリアン・ビンテージの雰囲気を醸し出しています。

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特にフォーククラウンのデザインなんかすばらしいです。

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通常使用による傷はそこそこあるのですが、たいてい近似色でタッチアップされていてます。
大きめの傷としては、右側チェーンステイのチェーンリングと重なる部分に、
チェーンと擦れて塗装が剥げた(タッチアップさていますが)痕跡があります。
ヘコミや歪みは見られません。フレームゲージ類で確認しました。ピシッとしてます。
BBやヘッドチューブの内側もきれいです。

さて、このフレームに、ストックパーツ棚からヨサゲなものを選んで、組み付けます。
フレームの持つイタリアン・ビンテージな雰囲気を壊さないように、
やっぱり当時のカンパニョーロをメインに組みたいですね。

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まず、ギヤクランクはカンパレコード。170mm,52x42T。

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BBもちゃんと当時のカンパです。

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変速機はカンパの3点セット。リヤ変速機にはスーパーレコードを奢ります。

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チタンボルト、いい色してるじゃねーか、へっへっへっ。
(ボルト見ながらニヤニヤしているのはキモイね)

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ハンドルはチネリの CAMPIONE DEL MONDO 66-42。
形状はまさに「丸ハンドル」クラシックです。

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ステムはチネリの 1A、120mm。少し傷があります。

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ハブはサンツアー シュパーブ。
リムはこの時代の定番マビックGP4。希少な旧タイプの赤ラベルです。
古いリムセメントは除去済みです。

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ブレーキ本体はカンパそっくりさん?の吉貝ニューグランコンペ。

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ブレーキレバーはサンツアー シュパーブ。これも良く似てます。^^;
ラバーフードは現行のダイヤコンペを使います。

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ボスフリーはサンツアー ニューウイナー、13〜21Tの6速です。

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シートポストは当時のKALLOY。墨入れ溝付きで時代の雰囲気です。

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サドルはセライタリア Turbo Special の白。
少し使用感はありますが、深い青のフレームに白が似合うでしょう。

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ヘッドパーツはタンゲレビン、このフレームに付いてきた物。鉄がいいね、ピカピカで。
フレームから全部取り外して洗浄、グリスアップ済みです。

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チェーンはシマノCN-HG91。新品です。
8速以下で使える現行品としてはベストチョイスだと思います。

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チューブラータイヤは、ビットリアの STRADA。新品です。
ビットリア RALLY の上位品です。

 

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実は、すでにほぼ組み上がっています。(ペダルは付属しません)
このあと試走して、調整して、バーテープ巻いて、写真をたくさん撮ったら販売開始です。

なお、サイズは、シートチューブ長が約565mm(C-T)、トップが約550mm(C-C)です。

お楽しみに。

デローザ DE ROSA 1980s 組上げ開始!

ここのところ何かと立て込んでいて作業が滞っていましたが、
入荷済みだった赤いデローザのフレームにパーツを組みます。

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改めて紹介しますと、
フレームは80年代のもので、チューブはコロンバスSLX。
デローザ特有の菱形断面チェーンステイが走りを期待させます。
チェーンステイやシートステイのいわゆる「立てかけ傷」など、
通常使用に伴う小傷がそれなりにありますが、近似色でタッチアップされています。
もちろんヘコミや歪みは見られません。

さて、パーツ構成をどうするか。
カンパの SuperRecord でも C-Record でも似合うフレームですが、
あまり高価な物になってしまうと(私のような庶民の感覚では)気軽に乗れなくなっちゃうので、
名品「DURA-ACE 7400系」でコストパフォーマンスよくまとめてみたいと思います。

7400系デュラはマイナーチェンジしながら10年以上も作られた超ロングセラーで、
互換性を理解して正しく組めば、とても信頼性の高い優れたコンポーネントです。
そして、7400系は歴代デュラエースの中でも、ピカイチの機能美だと思います。

ということで、ストックパーツの棚から、ヨサゲな物をピックアップしました。

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私、基本的にはキチョウメンなほうなので(自分で言うか)、
パーツは整備を済ませてから、個別に袋や箱に入れて保管しています。

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まず、自転車の顔とも言えるギヤクランクはこれ。170mm,51x42T。

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変速機は7速対応です。
Wレバーの「カキカキ」いう音も、私は嫌いじゃないです。

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ハブとスプロケット。 13〜25Tの7速です。
クロス過ぎない使いやすいギヤ構成だと思います。

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BBもちゃんと7400です。
7400のイタリア規格のものは入手しにくくなってきました。

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リムは WOLBER の SUPER CHAMPION ASPIN。チューブラーです。
古いリムセメントも除去済みなので、タイヤはテープで接着します。

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ステムは 3ttt の”DE ROSA” 刻印入り!。110mm。
ハンドルは CINELLI の GIRO D’ITALIA 64-40。定番です。

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ブレーキは7400のセット、ワイヤーが上方へ出るタイプです。
レバーフードに少し劣化がありますが、入手困難なのでこのまま使うことにします。

ちなみに、レバーフードがいよいよダメになったら、
ダイヤコンペの現行品で代用している方、結構多いと思います。

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もちろん完全にはフィットしませんけど。

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7400のレバーに付けると、こんな感じになります。
注意点としては、バーテープは薄手のものを使い、レバー根元には厚く巻かない方がよいです。
テープの厚みでフードが前方にズレて、あまり具合よくないので。

話を戻して、
シートポストは、DURA-ACEが何本もあるのに…

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んー、全部、径が合わない。
Shimano 600 なら径が合うのがあるんですけどね。

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すいません、ここは600で妥協させてください。

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サドルはこれ。Selle Bassano Vuelta イタリア製。
フレームのデカールの黄色とマッチすると思います。少し使用感ありますけど。

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ヘッドパーツは、このフレームに付属していた 600EX を使います。
フレームから全部取り外して洗浄しました。外見もベアリングもきれい。

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チェーンはシマノCN-HG91。新品です。

タイヤはビットリアの STRADA。新品です。
廉価なチューブラータイヤとしてはビットリアの RALLY が流通量が多いですが、
私のおすすめはこの STRADA です。 価格は RALLY より少し高いですが、
それでもコストパフォーマンスは STRADA が上だと思います。

コンディションの良いパーツが揃いました。
組み上げ作業はすでに開始しています。

お楽しみに。